さて今回は、現在飼育中の中から久しぶりにスマトラ島産ゼブラノコギリを取り上げてみます。前回の記事が2023年5月でしたから、一世代分のまとめ記事ってことですね。
WILD個体その後
前回記事ではWILD親をセットした事を書いて終わりましたが、その詳細から書いていきます。
セット開始時の画像は残してませんが、内容としてはBeケース中サイズに発酵マットを入れ、その中にやわらかめの細材を全埋めし、あとはプロゼリーと♀親単体を入れた通常のノコ用セットでした。ただし、ゼブラは材産み傾向が強く材が堅かったり状態が悪いと産んでくれなかったりするので、その選定には少し気を使いました。
これが4月の事だったワケですが、時は経ち・・・
錦秋の候、皆様如何
お過ごしだったでしょうか――
ってな具合で10月。半年経ってしまったですよ。ケース側面に見えた1令幼虫。
食痕も判るようになってきた2令幼虫。
そして3令幼虫が見える頃にようやく焦りはじめ、
気付いたら蛹室も作ってしまい迂闊にケースを暴けなくなっていました。
ケース側面には複数の蛹室が見える状況(矢印部分)。
WF1世代、やらかしちまいました。
そこから、週を経るごとにWF1新成虫が地上に出てくるようになり、WF1成虫をセットから回収する作業が始まりました。
まだ中に前蛹や蛹がいるかもしれないと思いケースを暴く事もせず、WF1世代の頭数も把握できないまま最初の頃に回収した成虫はやがて短い寿命を全うしました。
最後の羽脱個体を回収した時点で、年は明けて2024年1月中旬になってしまいました。
しかも恥ずかしい事に、早くセットを組めばいいものを「できれば選別したいなァ」などと呑気に構えていた所為で初期の羽脱個体はブリード出来ない老体ばかりになってしまい、生存個体が1♂2♀♀にまで減った2月中旬にようやくペアリングを開始しました。
(この感じ・・・10年前はこういう展開多かったね)
その前に、WF1羽化個体の紹介を。
飼育データなんてほとんど無いようなものですが・・・
①
♀ 26mm
2023年11月17日 羽脱
温室管理ではありましたが、夏場の暑さは影響あったでしょうね・・・小さいです。そもそも産卵セットのまま羽化しましたから、マットの栄養も薄くなってたろうし過密状態だったでしょうしね。
さて、WILDで入手した本種を飼育するにあたって、ちょっと心配な点がありました。
購入元のこの業者、産地取り違えをたびたび犯している事から、「本当にスマトラ島の原名亜種か?」と疑わなければいけないのです。他のSNSからの情報によれば、今回入荷した別の個体を買った飼育者の方で「流通量の多いジャワ島亜種のような個体」が羽化してきたと云う話を見つけた事もあって、ちょっとナーバスになっていました。
ジャワ島亜種ノブユキは、♀だと前胸背の点刻が弱く、そのために光沢が強く見えるのが判りやすい特徴です。この個体を見るとしっかり点刻が深くなっていて光沢がなく、原名亜種の特徴を備えています(比較用のノブユキ♀がいないのが記事としては惜しいですね)。
②
♀ 24mm
2023年12月10日 羽脱
♀個体では最後の羽脱個体です。・・・が、悲しい事にWILD親個体と全く同じサイズ。
③
♂ 39mm
2024年1月14日 掘り出し(羽化済み)
産卵セットの中に残っていた最後の個体です。サイズは40mm台にすら届かず、中歯?止まり。WF1では3頭ほどしか♂個体はいませんでしたが、この個体はその中での最大個体・・・情けない・・・。喜ぶべき事と言えば、不全なく完品で羽化してくれた事と、特徴がちゃんと原名亜種だったことくらいでしょうか・・・
背中側・腹側両面の毛も濃く、模様もきちんと原名亜種です。腹側の色味は、ボルネオ産と比べるとやや黒っぽいですね。
WF1ブリード
2月18日にペアリングを開始。
♂の後食を待つあいだに♀が古くなっていないか不安もあったので、思い切って♀2頭をまとめて♂のケースに入れます。ゼブラは♀殺しの懸念も大きいので、木端を多めに散らして♀の逃げ場を多数確保しておきます。
セットは3月上旬に行ないました。デジケースHR-1に発酵マットを8割の深さまで入れ、細目のホダ木1本を全埋めし、ゼリーを配置し1♀ずつ入れる・・・つまりケースを小さくしただけでWILDの時と内容は同じですね。
2ヶ月半後・・・ 5月19日。
実はこれだけの期間が経っていながら、ケース側面には幼虫の姿は見えていません。
割り出してみると、なんとも苦しい状況なのが判明しました。
まず1つ目、26mmの方のセット。
親は既にマット内で事切れていました。
産卵木も、表面にいくつも産卵痕を残していましたが全て孵る事無く腐っていました。これってペアリング失敗してたってことだよね・・・??
これ以上木を割る気も起きませんでした。
そして2つ目、24mmの方のセットは、
辛うじて幼虫2頭・・・
本当に小さな1令幼虫が産卵木にいました。その他には、3個ほど卵がありましたが数日の内に腐ってしまいました。苦しい、・・・本当に苦しい・・・
ただ、こちらの親♀はまだ元気な様子で、有精卵も産んでいる事から「まだ採れる!」と判断し、再セットを組むことにしました。
26mmのセットで残った産卵木がほどよく軟らかくなっていたので、これを流用します。ただ、前回の死亡原因が未交尾ではなくケース内(または材)の水分過多で蒸れた可能性もあることを考え、今度は発酵マットではなく、キメの粗い埋め込み用マットで材を埋める事にしました。
8月6日。少し前までは度々親♀もゼリーを食べに地上に上がってきたりしていましたが、もうしばらく姿を見ていません。今後を左右するWF1最後の割り出しであることはこの時点で予想がついていました。
よく育った2令幼虫がポロポロと出てきます。材から出てきた幼虫がマットからも発見されました。
結果は2令が5頭。苦しい数ですが次世代の累代には充分な数ではないでしょうか。(ゼブラって多産するのかな・・・?)
WF1世代が放置飼育で全く大きくできなかった分、今度は個別飼育&菌床できちんと大型を羽化させたいところです。今のところ、ネット検索をしてもスマトラ島産のゼブラノコギリの長歯って見た事が無いので、一体どうなるのか・他産地とどう差が生まれるのかとても興味がそそられるんですよ。(←じゃァWF1でそれヤレや!って話ですよね)
もう一度、仕切り直して頑張ります・・・
この記事へのコメント
福田
昨日某林道でお会いした者です。
自前灯火が想定よりはやく切れてしまったため、外灯巡りに行っており、
林道入口に戻ったのが0:15ぐらいで、行き違いとなってしまいました。
申し訳ありません、大変失礼しました。
お話できるのを楽しみにしていたので残念でなりません。
また機会がありましたらお会いできますと幸いです。
ちなみに、明日15日も本日と同所に入られたりはしませんでしょうか?
会長
お別れした後、想定以上に時間が掛かってしまったので仕方ないと思って戻りましたが、ニアミスしていたとは知らず失礼いたしました。自分はほぼ0時頃に車に戻りそのまま仲間と合流したのですが、この時自分はキツイ運動の所為で体力的にヘロヘロで耳詰まりも起こっていたので、どちらにしてもまともにお喋りできる状態ではなかったですね。自分の方では土産になるような虫は採れず、手前のあの方は1♀来たと仰ってました。
短い時間でしたが、あの後も話題が湯水のように続いて出てきそうで久しぶりに楽しくお話しできた気がします。近年はほとんど人と会わない場所にばかり入っており、初対面の同業の方と話す機会がなかなか無いもので。
15日ですが、入る予定はないですね。近いエリアで今期2♀♀採って満足しておりまして、たまたま昨晩は天気の都合と仲間が現地入りしていた兼ね合いで当初の予定を変更して来ただけなのです、申し訳ありません。
ただし、もしお暇がありましたらコメント等はお気軽にして頂ければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。