今年もあと2週間ちょっととなりましたが、年内に仕上げておきたいネタはまだわんさかとあります。今年は久し振りにきちんと(?)雪が積もってしまい、雪かきに体力と時間を削られどこまでブログに時間が割けるか大いに不安です。
さて、前回はオオクワの飼育記事だったので、同じ国産ドルクス繋がりで今回はコクワをまとめていきます。
その1 風間浦村産
▼飼育をはじめた経緯
去年「青森県産コクワガタ40市町村採集」を達成した時の最後の40番目が風間浦だったと云う事で、運よく採れた♀をもとに記念の意味も込めてブリードをはじめました。
採れた♀は、2023年7月16日に外灯回りで拾えた26mmの1頭。
【外灯回りで拾えた26mmの1頭。】 ⇒ 2023-7-18 『青森県産コクワガタ市町村巡り 完結編「風間浦村」』 |
▼産卵セットから羽化まで
同年7月19日にセッティング。
セットは簡素なもので、テキトーな細目の産卵材をマットで埋め込んだだけ。
プロゼリーVP、←ここだけ気合いを入れてあとは虫のやる気に任せます・・・
その3ヶ月後、10月16日。生まれてましたね~
さすが、生存適応能力国内最強のクワガタムシ。サクっとWF1ブリード開始です。
結果:12頭 ほどよい数を産んでくれました。
オオクワと兼用で用意していたKBファームのAG菌床に投入。
(写っている本数が少ないのは、1本に2頭投入とかしたからです)
そこから、6~8ヶ月ほどで大体が羽化してきました。
(全頭羽化とはいきませんでした、生存力・適応力最強とは言っても完全ではないんですよね・・・)
以下に♂♀の代表個体を紹介しつつ、全体的な結果にも触れていきます。
♂
2024年2月25日 3令後期 きのこの山製WISH-A1100PPボトルへ
2024年4月17日 蛹化確認
2024年5月15日 羽化確認 ※後日掘り出し 51mm
結構ズボラ飼育をかましてしまって、ほとんどの個体で1本がえししたのですがそのボトルはほぼ全部冬を越す間にドロドロに劣化させちゃいました。この個体のボトルだけ劣化具合がたまたまマシだったので、余りの在庫ビン(またしても別銘柄!)に入れたってワケ。
当然(?)、この個体が最大で、他は42~45mmくらいで羽化してきました。怠慢飼育とは言え、全頭大歯で極端に小さい個体が出てこなかったのは、なんだかんだで結構優秀な血統だったからなのか? とちょっと感心しています。(エサかも知れないし、コクワを菌床に入れたら大概そんなモンかもしれませんが・・・)
この51mmも、菌床が劣化する前に適切に交換していれば52~53mmくらいにはなってたんだろうか・・・
♀
2024年2月7日 羽化確認 ※後日掘り出し 31mm
♀は、最終的に僅か2頭しか羽化しませんでした。この個体はその内の1頭で唯一の完品。もう1頭はこれよりちょっと大きく32mmにはなってくれましたが、前脚形成不全になっていました(ちなみに理由は、1100ボトルに幼虫3頭ブッ込んだ所為と思われ)。
♀の数が少ないのは仕方ありませんが、なかなか順調に発育してくれたようで満足です。この31mmも、3令で割り出したのをボトルに入れて羽化させたワケですから、エサ交換はともかくとして割り出し時期如何によっては33mm以上も期待できたかもしれません。
以上、風間浦村産WF1の結果でした。
“たら/れば” ばっかり言ってましたね、毎度の事ながら言い訳ばかり。ただそれでも、一定以上のサイズには♂♀共になってくれたので、全然ダメだったワケでもありませんでした。
現在のところ、漠然と「東北のコクワガタはデカくなる」と言われてますけども、各地で採集していると場所によって「大きいのが採れる」「小さいのが目立つ」といった傾向が体感としてあります。自分は青森オンリーで考える事しかできませんが、風間浦村って県内では特に大きく出来そうな産地とは思っていないんですよね。そんな考えだったので、今回こうして1代回してみたら、風間浦(と言うか下北半島)産は予想よりも大きくなってくれたな・・・と驚いた節もありました。
ですが、この風間浦村産はここで累代ストップ。正直残念なところではあるんですが、今年はいくつか増種もしてスペースの確保が難しい・・・それに、“本命” の別産地をキープしてあるからそちらに絞りたい・・・元々本産地は制覇達成記念に飼育しただけだったので、何代も回せるほどモチベーションを保つ自信もありません。
これにて、風間浦村産コクワガタは完結です。
その2 ???産
さて次が、その “本命” の産地。
ただ、こちらについては産地非開示と云う事にしておきます。
▼飼育をはじめた経緯
風間浦の時とは違って、ここの産地自体はずっと前から採集に来ていて、「初めて採れた感動」から飼育をはじめたワケではありません。
2022年7月21日――ちょうどネジレバネの飼育を楽しんでいた時期ですね 笑、この日の夜のライトトラップにて、コイツが飛んできました↓↓
この夜一番の感動が、この♂でした。
そのサイズ、なんと52.2mm。ちゃんとした計測写真じゃなくて失礼!
この時の採集の瞬間は今でも記憶に焼き付いてます。上空の遥か前方から変わった軌道で飛んでくるのが見えてましたからね。その時点でコクワだとは判りませんでしたが、飛び方でミヤマでもノコでもアカアシでもなかったので「まさかオオクワが!?」と期待しちゃいましたよ。着地音も結構大きくて、見た瞬間「オオクワじゃなかった ↓↓」と云うガッカリと「特大コクワ来たァァァ ↑↑」と云う興奮を同時に味わいましたから複雑ですよ。
事実、この♂は採集してきた中の自己最大で、今現在に至るまでこれ以上のサイズを採った事はありません。そんな素晴らしい個体を採ってしまったもんだから、「キレイなうちにキュッと〆て」しまえるハズもなく、頭の中は完全に飼育モードへシフト。特大の♂をもとにして、特大サイズを狙いたくなったワケです。
▼♀の確保、2023年ブリード
そうなるとあとは♀親の確保ですが、これがあまり上手くいっていません。
「理想は30mmオーバーで!」と思ったのですが、その後イイ個体に巡り合わないのです。この産地は基本的にライトで集めているのですが、2022年は満足なサイズが採れず一旦断念。
2023年は、なぜかコクワの飛来数そのものが少なく、サイズの選別なんてする余裕はほとんどありませんでした。そんな中、何を血迷ったかスレてボロボロの27mmの♀を持ち帰ってしまい、ブリードは波乱の予感ムンムンでスタートしました。
同年、ペアリングを済ませて9月12日にセット。
♀も体力の限界近かったのか、僅かな幼虫しか採れませんでした。
採れた幼虫は初令で菌床に投入したのですが、どの幼虫も拒食寸前の状態で明らかな成長不良。エサ交換も空しく、最終的に翌2024年に羽化までこぎ着けたのはたった1♀だけでした。
その♀は9月7日に羽脱してきましたが、29mmと云うイマイチなサイズな上に後翅が畳めなかった羽化不全個体。画像に残す気力もありません・・・
▼2024年ブリード
ハードモードの2023年度幼虫の事を考えると「ブリードは一旦ふりだしに戻った方がいい」と判断して、再度親♀を捕らえるべくライトを焚きます。
・・・焚いてはみるのですが、2023年と同じくなかなかコクワが飛んできません。例年なら、最盛期にやれば選ぶのにも困らないくらいは飛んでくるのに。やっと来た! と思えば25mmくらいですよ。シーズン中、ここのポイントばかりで焚くワケにもいかないので回数もこなせません。
またも血迷って、スレスレでしかも動きがヨボヨボの29mm♀をキープしてペアリング。
もはや材すら齧れるのか不安な様子だったので、今回は「産卵木を使った通常のセット」は行なわず、
劣化とまで言わずとも、そこそこ腐朽も進んで齧りやすいだろうと期待して「菌床産卵」を試みました。
上部まで発酵マットを詰めて、ゼリーと♀を投入。
野外個体の♀にはちょっとイレギュラーだったかな? と心配しましたが、
先日、ひっそりと割り出しに失敗しました。
▼2025年ブリードは・・・?
結局またふりだしに戻った様な状態で今に至ります。幸いにして、今も♂個体は動きもキビキビしていて力もあるので、来年を最後のチャンスとしてもう一度ペアリング相手を採りに行きたいと思っています。
また、保険として、2023年ブリードで羽化したB品の♀と現在同居させています。エサが合わず、しかも不全した個体を使うのは不本意ですが、まさかここまで♀の確保に苦しむとは思ってなかったので藁にもすがる思いです。
果たして良型♀は採れるのか?
3年目の♂はペアリングに堪えるのか?
そしてきちんと産卵してくれるのか?
来年に続く・・・
その3 番外編
累代の終了を決めた風間浦村のWF1ですが、せっかく大きく育ったのにそのまま飼い殺しにするのも勿体ない、標本にするにしても飼育品だし個人的にはあまり気も乗らない、でも産地的にそれなりに面白いと思うし・・・
で、最終的に

(秋も深まったタイミングで、しかもただのコクワなのに最終的なウォッチリスト登録者が34人になったのはマジでビビりました)
他人任せと言えばそれまでですが、大型ブリードに意欲のある人に落札してもらえたので思い残す事はありません。県外に出回る事なんてまず無いであろう面白い地域のコクワなので、大切にしてもらいたいですね。
ただ、オークションで手放したのは見栄えのする前述の♂♀1ペアだけなので、残りの個体はプロゼリーを食べながら静かに余生を送ってもらう事にします。
それと、ネットオークションと言えば、今年はこの風間浦WF1以外にも別エリアで採った野外品コクワを2件出したりもしました。
野外品のコクワと言っても、『大量!50匹まとめ売り!』みたいなヤツではないですよ。狙いとしては、日本国内に5人程度いるとされる(← テキトー)本土コクワブリードガチ勢へ、そこそこ悪くないサイズの♂♀をセットにして「青森県産で特大狙ってみませんか!?」とアピールするのが目的だったんですよね。

言っておきますが、これに利益なんて無いですよ、安いし。むしろ出品・発送準備の時間的拘束で赤字ですからね。それもこれも、青森県産としてきちんとしたラベルのものを所望して頂けるごく僅かなブリーダーorコレクターに届いたらいいな・・・と云う願望(個人的満足感)の為です。
まぁ、いずれも滞りなく気持ちよく取引できたのでこの話はもう長々書く事はありません。ただ、今回そういう上記の意図でコクワを出品した手前、取引で1個だけ納得できない点はありました。
なんで全員、詳細産地訊こうとしないの!!?
「青森県 〇〇市町村」までは出品時に明記はしておいて、「大字クラスまではOKなので、詳細ラベル希望の方は落札後お申し付け下さい」と書いたんですよ。
(産地開示については人によって考え方が違いますが、コクワに関しては全域に分布しているので「産地がばれる」と云った話にはあたらないと考えています。また、そこでコクワを採っていたと云う事は・・・と変な勘繰りを危惧する部分もあるかもしれませんが、採集方法や経緯については下手な期待を持たせないように説明済みです。)
誰一人として「詳細産地もお教え願います」なんて言ってこなかった・・・自分だったら絶対訊くんですが、一般には市町村まで知れてりゃ充分なんですかね? それとも、全員出品説明の中身忘れて取引しちゃったとか?
う~ん、なーんか悔しい・・・
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