…が、その代わり「欲しい!」と思ったものに対しては執着が強くなったように思います。
クワガタにのめり込んでしまってからというもの、これまでそれなりに色々な種類に手を出し飼育してきました。それでも、未だ見た事が無い・飼育した事が無い種類で興味をそそられるものは数限りなくあります。それは、幼少の頃から気に掛けていたものもあれば、つい最近記載されて世に知られたものもあります。
2024年の増種、その5番目は―――
チェンミヤマ 中国 チベット自治区 ニンティ市 メトク県
あまりこのブログでは登場しないミヤマ系。しかも幼虫です。
[種の解説]
【学名】Lucanus cheni Huang, He et Shi, 2011
【体長】♂38.0~82.5mm ♀28.0~41.0mm
【分布】チベット自治区、ブータン、インド(シッキム州、アルナーチャルプラディッシュ州)
本種が記載される前まで、日本国内ではL. furcifer Arrow, 1950として扱われていたのですが、地元・中国の研究者らによってZootaxa Vol.2987 No.1の中で再検討・新種記載が行なわれました。記載論文が有料で、自分はネットの拾い物しか見なかったのですが、タイプ産地はチベット・ニンティ市・メトク県(その下の地名のHanmiってどこだろ?)。この記載に至るまで、色々ややこしい問題があったみたいですね。特に、昔の欧米の研究者ってアジアをテキトーに括り過ぎなんですよねぇ。
体長は、「最大90mmを超える」とか「85mm以上になる」とかよく分からんのですが、勝手な想像ながら82mmと云うのはまだまだ野外の限界値には程遠いようには思います。
分布はインド北東部からチベット南西部にかけてですが、地域によって体長や大腮の形に差があるようで、おそらく分布しているであろうネパール方面の個体群がどういった形態なのか気になるところです。
[生体の国内流通]
つい最近になって国内に生体が入荷したと記憶しています。と云っても、最初から本種をマークしていなかったので正確な初入荷は把握していません。後から調べた内容なので間違っているかもしれませんが、2022年以前の入荷・販売記録は見つけられませんでした。

2023年にチベット西南部のシガツェ市ディンキェ県チェンタン産が輸入され、遅れてメトク県の入荷がありました。発生が季節的で、日本で言うところの夏(現地では雨季)に採集されます。2024年も入荷があり、前年同様シガツェ産とメトク産が入ってきたようです。
言うまでもなく、自分は今回が初飼育となります。
[増種経緯]
BE-KUWA75号・世界のミヤマクワガタ大特集で見た時にその造形が印象に残っていて、「ちょっといいな」くらいには思っていました。形の近いチベタヌスやルニフェルみたいな近縁種は既に出回ってはいますが、個人的に頭部の頭冠がすぼまっている(横に広がらない)ミヤマはあんまり好みではないんですよね。成虫写真がここに無いので違いやニュアンスが伝わらないですけど、一回調べて見て比べてみてください。違いますから。
そしていよいよ国内に生体が入荷するようになり、販売店や購入者がこれ見よがしに色んな角度から♂個体の写真を撮ってUPしだすワケですよ。標本の背面写真では分からなかった立体感が、もうカッコイイの何のって! 欲しい願望がブクブクと湧き上がってきちゃったんですよコレが。
その中でも、大腮がより発達するとされるメトク県産に心を持っていかれそうになっていたんですね。
しかしギリギリのところで購入を踏みとどまっていた要因が、その金額でした。
もう高いのなんのって。ミーハー飼育屋が手を出すにはケタが大きすぎます。ドルクスグッズに入荷してたドイツ産ケルブスより遥かに高かったもの!
ショップ在庫やネットオークションの出品を手が滑ってポチらないように色々考え直しながら見送り続けて、夏の入荷シーズンを乗り切ったのです。
しかし、秋になって再びネットオークションやSNS等に「チェンミヤマ」の文字が流れてきました。
そう、幼虫販売です。
成虫が高額だっただけに、出初めはゴニョゴニョ万円となかなかのもので「まぁ、なかなか値が張るなぁ…」と思う程度でした。しかしその後、初入荷から日が浅い為に需要と価格設定があまり釣り合っていなかった事に感付いてきたのか(?)、ジワジワと販売価格が下がってきたんですね。
最終的にホニャホニャ万円あたりの出品が出てきて、しばらく長考した後ある日吹っ切れてポチってしまったと云う流れです。
幼虫で購入なんて、なんか随分と久しぶりな気がします。
[入手個体について]
購入した幼虫はWF1で、今年の夏の入荷個体の産卵個体です。
購入したのは11月6日、到着したのは11月10日です。
今回の販売者は、個人的に経験上信用ならない地域の方だったので連絡中は結構細かに梱包内容を確認しました。
(↑↑と言うのも、経験上この地域の人から買うとショップも含め梱包状態が悪い事が多かったんですよね。特に、マットを随分と湿らせて入れるんで凍死したりしそうだったりする率が高いっていう…)
到着後、中身を出してチェック。全頭問題なし。ウニウニと動いております。
その後は温室で極力刺激を与えないようにカップのまま加令待ちしている状態ですが、ネットで調べる分だとこの後冬期用の環境に移した方がいいのかな?
ミヤマ系の飼育も久し振りなので、ひとまず無難な飼育で羽化までもっていければと思います。
ブログに載せた在庫 97種類
全ての在庫 ??種類
※ちなみにミヤマの増種で言うと、今年はもう1種モーレツに気になっていたヤツがいたのですが、それは大明山の某ヒメミヤマ。ミヤマ初心者が手を出したら絶対に不幸な事故しか起こらないと悟って、忘れる事にしました……
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