前回が紀伊大島のヒラタでしたので、島つながりで今回は紀伊大島コクワの今年まとめです。
▼ 2024年
10月。採集した幼虫が全て羽化して固まったところで、ブリードを開始することにしました。
組ませたのは、前回記事の♂②と♀⑧の2頭。

羽化してきた中でも最も赤い♂♀を選びました。色味に個体差が出やすい紀伊大島産において、自己採集でいくつも選択肢を持っているのはこの上なく贅沢ですね。だって、せっかくなら「赤」を極めたいじゃないですか。
10月21日、小ケースに細物のホダ木をマットで埋め込む、――いわゆるヒラタセットを組んで♀を投入しました。埋め込みマットは…勿論、「フォーテック製 産卵一番」です。
ただ、そこからは一切の沈黙。
覚悟はしていましたが、やはり時期的に遅すぎた為に越冬態勢に入ってしまい、そのまま春まで常温放置する事になりました。まぁ狙いとしてはOKですとも(←ヒラタの時も同じ事を書きましたが、あんまり早々と累代サイクルを回したくないので羽化の翌年くらいに産卵してくれた方がいいのです)。
▼ 2025年
6月、生息地では夏の梅雨シーズンとなっている頃でしょう。おそらくとっくに活動期を迎え最盛期目前と思われる季節だと思いますが、一方青森はようやく夏の虫が起き始める頃です。
先に組んだセットの♀もこの頃やっと動きを見せ始めます。
そこへ、今度はさらに追加として
赤味はまあまあながら大腮の形が気に入った♂⑤と、黒が強めながらもカワラ菌床でちょっと大きく育った♀⑭をペアリングして組んでみました。
6月23日。産卵一番で材を埋めるのは同じですが、このセットでは “例の大分材” を(苦労して加水して)使ってみました。写真では材に樹皮が付いたままに見えますが、地中に埋めている部分はカッターで辺材部を露わにしています。いやぁやっぱりこの材の構造はワケが分かんねェ…
| 【例の大分材】 |
以降、この2セットを常温で管理し続ける事4ヶ月。
10月20日に2セット双方を割り出しました。
どちらも、外から見ても材に十分食い入っていて、1セット目の方には数週間前時点で ケース側面に幼虫も見えていました。さぁどれだけ沢山採れるかな と期待一杯にひっくり返してみました
が…
まずは夏前に組んだ♂⑤&♀⑭のセット↓↓
な ん で だ よ !!!
フニャフニャの大分材には随所に穿孔痕がありながら、卵を産んだ形跡が見られませんでした。卵が腐ってたとか、そういうんじゃなく マ ジ で 「産んでいなかった」のです。♂も同居していたし♀も生きているので、ペアリングをミスったとかは考えられません。えぇぇぇぇ~マジかよぉ~~………
こうなると、1つ目の♂②&♀⑧に懸けるしかありません。
こっちはケース側面に幼虫が見えていたのでボウズの心配は無いとして、どれくらいの数が採れるのか…
ホダ木を割っていくと、出てきました! 早速1頭目!
な
ん
で
だ
よ
!!!
ヒラタと申し合わせたのかコイツらは?
ヒラタで1頭、コクワでも1頭って…
て言うか、マットに見えてた幼虫はどこへ!?
(と云うか、そもそもなんでヒラタセットで組んだんだろう…?)
先刻のヒラタの記事で書いた通り、この時期が来るまでに丸1年――ここまで2回の菌糸詰めをふいにしてきました。勿論そのほぼ全てが、この和歌山県産を飼育する為に準備したもの。
…で、「次こそは」と諦めずひと月前に詰めた3回目も、これでめでたく無駄になってしまいました。もう、自分がこれまでやってきた事が正しかったのか解からなくなっちゃいましたよ。
以上、ここまでが2025年までの紀伊大島コクワの記録です。
いやぁ~もうね…進展がほとんど無いし、下手したら累代終了の危機ですよ。羽化個体も1年経っちゃいましたし、現時点で死亡個体も多数います。今生きている成虫にとっては2年目の冬になるので、来年の春――そして次期ブリードに堪えうる個体がどれくらい残っていてくれるのかさえ危ういです。その頃には、選別などと云う贅沢も儘ならなくなっているかも知れません。
決死の思いで採ったこの虫、来年がWF1を採れる最後の勝負となる事でしょう。
それまでどうか、この冬を耐え忍んで――。
つづく

この記事へのコメント
№7
会長、和歌山と相性悪すぎませんか?
会長
そうですね、これ虫どころの話じゃなく「和歌山全体」と相性が悪い気がします。特に、コクワに関しては材産みですけど、産卵一番のハズしっぷりはもはや巷で言われてる実績がウソなんじゃないかと思うほどです。
あと、書きそびれましたが白神コクワも今年組んでスカしちまいました。相性悪いのは和歌山だけじゃなかったっす。