紫外線強度計測 ~HIDランプ~

8月に入り、青森県も各地で祭りに沸いております。我が青森市でも先週は夏の火祭り・ねぶたで大変盛り上がりました。
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しかしそれも自分にとってはどこ吹く風、虫屋にとっての夏の火祭りと云えばそう…
ライトトラップですね!

今回は、ライトトラップに関して “とある実験” を行なった結果を書いていきます。





2024年の終わり頃、amazonのストアからとあるツールを購入しました。
到着したのはおよそ1週間後の年明け。

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UVメーター、つまり紫外線強度計です。

昆虫をライトで誘き寄せるにあたって、光源そのものの選定が採集の結果を大きく左右すると言ってもいいでしょう。有用なHIDランプの製造品目が多かった時代、2000年代~2010年代にはライトトラップを行なう人口も増えた事も相まって、「能率が高い光源」を見つける為に色々と買い漁った人も多かったかと思います。

また、灯火採集の代名詞と言うべき水銀灯が入手難となった現在では、LEDを含め「代用品となりうる光源」を色々な情報網で得ようとする方々も見受けられます。

勿論、自分も上記に当てはまる一人です。ライトトラップ機材を使うようになって以降、素人なりにどんなランプが存在しどこで手に入るのか等、シーズンのオンオフ問わず考えるようになりました。
気が付けば、金が無い金が無いと嘆きつつも決して少なくない数のランプを所有するに至りました。

そうなってくるとどうしても興味が湧いてくるのが、
「ランプによって紫外線域の出力にどれくらい差があるのか」
と云う点ではないでしょうか。
昔たまに聞いたのが、「ライトトラップで全然虫が来ないのがおかしいので、使ったランプの種類をよく調べたら紫外線をほとんど出さない型だった」と云う話。
採集用の光源は、言わずもがな人の目で明るく見えれば良いワケではなく、昆虫が夜間反応する「紫外線域」の波長をよく発するものが適しています。細かく言えば、ライトトラップを行なう場所や天候条件次第で紫外線域以外にも可視光域とのバランスや光量の選定など注意が必要だったりするのですが、いずれにせよ紫外線域の出力が最も重要な要素なのは間違いありません。
ただ残念なことに、HIDランプを製造しているメーカーは、基本的に可視光域のデータのみ重視する場合がほとんどです。公表される分光スペクトル図も、400~380nm以下の紫外線域は省かれている場合がほとんどです。無論、素人の自分が分光器を用意して波長ごとの出力比率を測るなんて出来るわけもありません。

しかし、それでもやれる事はあるんですね。
それが、前出の『紫外線強度計』なのです。ある一定の波長域の紫外線を検知し、数値化したものを製品ごとに比較すれば、ランプの選定における重要な資料になります。
ホントならばこの実験結果、有料記事扱いにでもするか仲間内にだけ共有するレベルのものな気もしますが…まぁいいでしょう。

強度計を購入するにあたり、出回っている製品を色々と調べてみたんですが…まぁ一筋縄ではいかないものですね。国内で普及しているものは通常、UVカットの確認を目的としている為か波長の違いは気にしないらしく、測定結果がUV-A(400-315nm)UV-B(315-280nm)合算?で、反応する波長の範囲が広い(悪く言えば大雑把)のが特徴です。
こういうのでも別に構わないのですが、もうちょっと波長を絞って検知できる計器が欲しかったのでもう少し探しました。

…すると、あったんですよね。ほんの僅かに。
紫外線域をA、B、C別々で測定できるものがあったんですが、ひとつはアメリカ製、そしてもうひとつが中華製。値段は雲泥の差で、中華製品は1台1万円ちょっとなのに対し、アメリカ製品は5万~10万円。究極の選択です。
詳しく調べてみると、複数メーカーの製品で同じ光源を測った結果と云うものが出てきました。それによると、やはりアメリカ製品はしっかりとした規格に沿ったもので、方や中華製品は他の製品の測定値から一番遠い数値が出てきたとの事です。
この結果も考慮して結構悩みましたが、
・多用するものでもないのにウン万円も出せるか?
・同じ機器で測定して比較する分にはどちらの機器も用足りるのではないか
と云った点を考慮して、リーズナブルな中華製品を選定しました。
強度計はA、B、Cごとにそれぞれ独立した製品なのですが、「地上に届かないC波」はライトトラップには無関係と云う事で、写真の通りA波用(表面シルバーB波用(表面グリーン2種類だけ購入しました。
ちなみに、本製品はamazonでしか探せなかったのですが、どれもまぁー怪しいこと! 同製品を出品する現地販売者はたくさん見つかるのですが、写真とタイトルが合ってないので全部詐欺業者にしか見えません…。かろうじて評価数的に危なくなさそうで、かつ深圳市あたりの業者なら大丈夫そうかなと判断して購入先を決めました。ダマされる覚悟でポチりましたよ。

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到着した商品は、外箱が輸送中のダメージを被ってくれていて中身に影響はありませんでした。ただ、強度計本体にやたらと擦り痕や指紋がベタベタ付いているのは気になるところですが…

強度計の説明によると、強度の測定数値範囲は0~1999μW/cm2で分解能は1μW/cm2。これは、国内で入手できる他の強度計もだいたい同じです。
そして検知範囲はA波用が400-320nmで、感度ピーク値は不明ですがおそらく中間値の360nmあたりだと思われます。
一方、B波用は検知範囲は書かれていませんが、感度ピーク値は300nmとの事。





前段が長くなってしまいましたが、ここから実験開始です。

【実験内容】
自分の所有しているHIDランプ各種に加え、この企画に賛同して頂けた採集仲間からランプを借り受け、同じ条件下でランプ単体のみの紫外線強度を計測しました。

条件①
実験は全て同所の屋内の密室で行ないます。
計測箇所の周囲には、鏡・金属・ホワイトボードを含め反射を起こしかねない余計な物は置きません。
他の照明は消した状態にし、窓は計測時に影響が無い事を確かめておきます。

条件②
投光器のソケットにランプを取り付けて点灯しますが反射板=傘の部分は用いません。
ランプは品目によって点灯方向に指定がありますが、「任意方向点灯」のものは直立状態で、「水平方向点灯」のものは横向きにして点灯します。
いずれの場合も、灯具に反射した分の光が計測で悪影響を及ぼさないように、黒いボード等で余計な反射光を遮蔽します。

条件③
受光センサーがランプの発光管に対し垂直に60cmの距離になるよう、あらかじめ強度計を水平位置に据えて固定します。
ランプ点灯後、発光が安定する約10分を過ぎてから計測します。
強度計のスイッチをON受光レンズ保護カバーをOPEN数値が安定したところで記録(写真を撮る)強度計のスイッチをOFF、これをAとBの両方行ない、その後ランプを消灯する流れです。
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ちなみに、なぜ60cmの距離で測るのかと云うと、本企画の基準となる透明水銀灯1000WのランプがA波の数値を表示できるギリギリの距離だったからです。
これを50cmの距離に近づけて測ると↓↓
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計測範囲をオーバーしてしまいます。
逆に、70cm…80cm…と距離をあけ過ぎると、その後に測る400Wクラスの数値が小さくなり過ぎて検知出来なくなります。


【実験結果】
では、各種ランプの寸評に先んじて結果の方から見ていただきましょう。
W数メーカー、ブランド品名強度A波強度B波
1000GSユアサH10001491323
1000岩崎電気HF1000X2421
1000岩崎電気MT1000B-D/BH15519
1000オスラムHQI-T 1000W/D4760
1000ナショナルMT1000B/BH-SC160868
1000岩崎電気M1000B/Gover20
700東芝H70082951
600ソダテックMH600W/10K3970
600ネオランプMH600W/TT76/4200K/E393281
400東芝H40049124
400ナショナルH40051729
400東芝H400(古)49224
400三菱MF400・L-J2/BU-PS1470
400???MH400W 1804LB2081
400岩崎電気M400DL/BH5336
400岩崎電気MT400DL/BH4001
400岩崎電気M400LE/G167210

昆虫はA波とB波両方を視認できますがとりわけA波の方に高い視認性を持っているので、簡単な話としてはAの数値に注目すればいいかと思います。


【各ランプの寸評】
▼1000Wクラス▼
H1000
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透明形水銀灯です。H1000の型は複数のメーカーが製造していましたが、自分が使用しているこの製品はGSユアサ製です。

最初の計測対象でしたが、ある程度データが溜まった状態で改めてこの数値を見るとなかなかに優秀と見ていいですかね。特筆すべきはB波長域の数値が他製品に見られないレベルで大きい事です。これが採集でどう活きるかはまだまだ判りませんが、何にせよ面白い球を手に入れたなぁ~とホクホクしたのは間違いありません

HF1000X
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続いて同じ水銀ランプの1000Wですが、こちらは照明用途でより一般的に使用されている蛍光形で、外管内に白い蛍光物質が塗布されているのが特徴です。
さてこの球の入手経緯ですが、元々部品取り用の投光器を買った時に付属していた “おまけ” です。まぁ中古品です。

計測結果としては、表を見ての通り一部の400Wクラスにも劣る数値が出てしまいました。これは、中古品で使い古されたからなのか、新品でも大して変わらないのか判断できません。一応、口金を見ると結構きれいなのでそんなに質は落ちてはいないと思うのですが…明るさについては流石1000W! と云うほどはあるので、実践投入してもガや雑虫くらいならそれなりに集められるとは思います。
……が、そうは言ってもやはり使う事は無いので、実験後オークションで売り飛ばしました。

MT1000B-D/BH
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岩崎電気が誇る、高演色性メタルハライドランプ・クウォーツアークの水平点灯型です。幅広い波長域を出力していて、同社製の投光器・アクロスターシリーズとの組み合わせは、かの時代の採集者の間では「超」が付くほど有名です多分

計測結果は、流石は評判通りといった数値で、A波の方は微差ですがH1000を上回っています。B波の方は残念ながら大したことはありませんが、光色の白さは水銀のそれとはまったく違い、採集時の探索も大変楽になるのがメタルハライドランプの利点ですね(平均演色評価数Ra92)。この特徴の違いを把握し、それぞれ違うシチュエーションでの使い分けができればかなりの戦績を収められるでしょうね。
…と言うか、事実使い分けてFH鈴木さんは結果収めてましたし。

HQI-T 1000W/D
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こちらはオスラム製の高演色性メタルハライドランプ・パワースター。スペック自体は全光束80000lm、平均演色評価数Ra93でクウォーツアークMT1000B-D/BHと同等です。

点けてみると、なるほど明るい! きれいな白色光で、周囲の見え方としてはクウォーツアークを上回ると感じました。
しかし肝心の紫外線強度はな~んかショボイ…。貸与品なのでよく分かりませんが、おそらくドイツあたりの海外製造品だと思われます。ヨーロッパ諸国では水銀の規制が日本より厳しい事もあって、HIDランプの紫外線放出量も日本製のそれと比べて格段に落ちるらしく、これはその好例なのだと思います。

MT1000B/BH-SC
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当時はナショナル、つまり現在のパナソニックですが、その時代に製造されたランプになります。マルチハロゲンランプは、HIDのカテゴリとしては水銀ランプともメタルハライドランプとも違うのですが、まずライトトラップで使っているのを見聞きした事はありません…少なくとも自分は…
点灯してみると、これまた明るい! 水銀ランプは青緑っぽく、メタルハライドランプは白く見えるのですが、こちらはちょっと黄色みが感じられてちょっと新鮮です。

そして、紫外線強度はかなり良い! A波は水銀やクウォーツアークをも上回り、B波も意外に強いです。黄色い光でちょっと侮っていましたが、これはダークホースでしたね。

しかし…このランプ、実戦では使えません……
何故かと云うと、ランプ本体がデカすぎて丸形投光器に入らないんです…!
惜しいなぁ…

M1000B/G
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緑色に発光するメタルハライドランプで、俗にグリーンランプ、グリーン球と呼ばれているものです。これもいくつかメーカーがありますが、採集屋界隈で一般的なのはこの岩崎電気製ではないでしょうか。任意点灯形で色々な使い方が出来ます。

メーカー公証では全光束80000lmでクウォーツアーク等と同じですが、計測すると検知範囲上限をオーバーしています。「え? メーター壊れてんじゃないの?」と疑われるかもしれませんが、想定内です。この実験前の下調べ段階で、グリーンランプの計測値が水銀以上になる事は知っていました。ただし、本実験はあくまでもH1000を基準に計測しているので、さらに距離を引き延ばして計測比較はしませんでした。
とはいえ、実際にこの結果を見ると内心ゾクゾクしてしまいますね。これを投光器に入れてもきちんと威力を発揮してくれるならば、あとは緑の光であるメリット/デメリットやB波長域の弱さが、昆虫の飛来にどう影響してくるかが大変気になるところです。


▼700Wクラス▼
H700
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ハイワットクラス導入時からお世話になりっぱなしなのがこれです。透明形水銀ランプと云う事でH1000と同じく各メーカーのものが存在しますが、自分が最初から使っていたのがこの東芝ライテック製。

持っている複数在庫をそれぞれ計測してみましたが、“微差” と言って済ませるのはやや厳しい気もしますが大体こんなものでした。A波長域の最大値と最小値にはおよそ100程度の差が見られたのですが、採集の上で明白な違いが生じるほどではないでしょう。
気になるのはB波の方で、H1000から比べると結構落ちましたね…それでも、ほとんどの1000Wクラスよりは全然高い数値なのですが…東芝とユアサの違いも影響してたりして…


▼600Wクラス▼
MH600W/10K
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植物栽培用のHIDランプで、ソダテックというブランドで販売されているメタルハライドランプです。全光束42000lm、色温度10000K、植物栽培用には紫外線が強すぎる為?収穫の直前1~2週間にだけ使うように説明がなされている興味深い一品です。販売元のデータによれば、スペクトルの比エネルギーでは400nm台が高めらしいです。
ランプの全長は400W用投光器に収まる範疇なのですが、外管の太さがソケット側にギリギリ合わなかったので、投光器をグリグリ改造してなんとか入れられるようにしたのはいい思い出です。

しかし、これまで何度か使用した経験で言うと、「虫がイマイチ寄ってこないなぁ~」と云うのが正直な感想です。そもそも、累計で使用回数も少ない上に変な場所でばかり使っていたので、まるで成果が上がらなかったのは当然ではあるんですが…。一応、採集仲間はこれでオオクワも採っていたので「使えることは使える」ようなのですが…
ちなみに、実物を最初に手に取った時には、「重いなぁ」と思いました。これ、水銀ランプとかと比べて外管のガラスがすごく厚いんじゃないですかね? ガラスが厚過ぎると紫外線の透過率も低くなりますし、この部分で結構損しているんじゃないかなぁと思ったりして。
…いずれにしても、この数値見ちゃったら自分はもう使わないかもなぁ…

MH600W/TT76/4200K/E39
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これも植物栽培用で、中国製と云う事以外よく分からないのですがネオランプという名称のメタルハライドランプです。『4200K』の表記通り色温度も低く、明かりはちょっと黄色みを帯びています。

MH600W/10Kよりも、ちょっとA波が弱いですね。全光束や演色性(採集中の見やすさ)では後出の400Wクラスを凌ぐものがあるんでしょうが、個人的にはやっぱり実戦向きじゃないかなぁ…


▼400Wクラス▼
H400(東芝)
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透明形水銀ランプの400Wはガタ屋の基本武器と言っても間違いではないはず。勿論これは個人的な意見ですが。
400W導入時に入手したのがこの東芝ライテック製で、400W使用時にはこれを主戦力としています。

A波で491となっていますが、他にある在庫でも若干の誤差があり、500前後が基本なようです。
B波も20~30の間で、1000Wクラスのメタルハライドランプと比べても強度は同等以上と言えます。

H400(ナショナル)
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こちらはナショナル製の透明形水銀ランプ。まだパナソニックではないだけあって製造年もやや古く、2007年の製造品です。
東芝や岩崎とは外管の形状が違うのが特徴です。輸送中にカチャカチャ音が鳴るのがちょっと気に障ります 笑

計測数値は、A波/B波とも東芝の優良個体に匹敵するレベル。こちらは1個しか持っていないのですが、安心の品質です。

H400(東芝、半世紀以上前の品?)
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東芝のH400は前出ですが、こちらは箱やロゴを見て判る通り、かなり前の時代に製造された個体です。もはやアンティークと言ってもいいですね。TOSHIBAのロゴも現在のそれとは違い、いわゆる「傘マーク」と言われるヤツです。

計測数値ですが、前の2つと変わりません。実はこれを入手した時には「水銀の規制云々の話が無い時代の水銀灯だ!」と水銀封入量の違いを期待していたのですが、とんだ肩透かしでしたね。

MF400・L-J2/BU-PS
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三菱電機照明(三菱電機オスラムかな?)のメタルハライドランプ・マルチスターの蛍光形です。

通常こういうタイプの球は採集で使う事が無いので、データをこうして取る事が出来たのは有意義に思うのですが…やはり採集では使い物にならないですね。

MH400W 1804LB
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品番からしてメタルハライドランプなのは判るのですが、メーカーその他で表記が無く、これ↑↑が正しい品番かも判りません。このランプ、安定器内蔵型の投光器を買った時に組み込まれていたもので、判るのは「400Wで水平点灯はOK」だと云う事くらいでした。

計測結果は、……まぁそうでしょうね と云う数値です。何も期待していません。

M400DL/BH
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岩崎電気の高演色性メタルハライドランプ・アイ クリーンエースです。波長バランスも自然光に近く、加えて紫外線域もちゃんと出力しているため、400Wクラスとしては水銀ランプと並んでおなじみと言ってもいいのではないでしょうか。
全光束25000lm、色温度6500K、平均演色評価数Ra90と、高スペックのHIDです。

計測数値は、A波は透明形水銀ランプをわずかに上回りました。B波がかなり弱いのはメタルハライドランプお約束のパターンですが、この結果ならばライトトラップに使われているのも納得です。

MT400DL/BH
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前出のアイ クリーンエースの直管形です。角型投光器の専用ランプとしてリリースされているものですが、メーカー公証ではM400DL/BHを上回る数値・全光束29000lmと表記があるだけに、アイ クリーンエースを使う際に自分はこちらを使っていました。

しかし、見ての通りの計測結果でがっかりしました。M400DL/BHと比べても、これは微差とは言えないレベルの開きがあります。すごく悪いと言うまではいかない数値ですが、複数製品測った中での結果として見ると実戦に使うのは躊躇ってしまいますね。

M400LE/G
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前出のグリーンランプの400W版です。全光束は32000lm、任意方向点灯形です。

測定結果はこの通り、A波の数値が1000Wクラスの水銀やクウォーツアークレベルです! M1000B/Gの時も凄かったですが、これってどういうカラクリでこんな数値になるのでしょうかね。


【興味深い点】
実験の中で、気になった事や特記すべき部分を書いてみます。
(本項も、気が付いたことがあれば今後追記していく予定です)

アイ クリーンエースの個体差
製品ごとの紫外線強度を測る中で、自分の所持している同製品の控えのストックもそれぞれ計測しました。
その結果、とても興味深い結果が明らかになりました。

アイ クリーンエース400Wの2品目、M400DL/BHを3本MT400DL/BHを2本計測してみたのですが、数値にかなりの違いが出たのです。

M400DL/BH
個体番号強度A波強度B波
5336
2192
2852

MT400DL/BH
個体番号強度A波強度B波
4001
2670

上記の各表の①は、前項の種別比較で挙げた個体です。
それと比べてみると、②以降の個体は数値がかなり小さく、同じ製品の個体差と云う一言では片付けられないくらいの違いがあります。何度か強度計を当て直してみたり、場所を変えて測定してみたりしましたが、この差は変わりませんでした。
本記事をここまで読み進めてきたなら、これを「別製品レベルじゃないの?」と共感してもらえると思います。
なお、透明水銀ランプも700Wと400Wで複数ストックを測りましたが、数値の差も微々たるもので疑問を感じるほどではありませんでした。

なぜこうした違いが出たのか、実はちょっと心当たりがあります。

これらの在庫、購入したタイミングがバラバラで、
M400DL/BH ① ← 2017年11月
M400DL/BH ② ← 2025年6月
M400DL/BH ③ ← 2025年6月(②と同時購入)

MT400DL/BH ① ← 2017年6月
MT400DL/BH ② ← 2017年9月
後から購入した個体ほど紫外線強度が弱くなっています。
アイ クリーンエースは岩崎電気で2025年1月で製造が終了していて、M400DL/BHの②と③は最終製造ストック品と思われます。この②と③の間にも差が見られましたが、2017年購入の①との差が大変大きい事を考えると、製造年のロット差によるところが大きいのかなと考えられます(MT400DL/BHの方はよく分かりませんが…)

これを見ると、現在販売店で売られている新品のストックは正直『ハズレ』と言ってもいいかもしれませんね。実は自分もこの実験後、数値の低かった個体は後で気付かず使ったりしないようにオークションに出して損切りしました。


【おわりに】
長々と記事を書いてはみましたが、今回の結果をそのまま鵜呑みにしてはいけません。
今回はあくまでも、
手元に有った個体を
投光器に入れずに点灯し
わずか60cmの距離から
計測しただけに過ぎません。
前述したように、同じ製品でも製造年代によって違いが出ます。また、今回の計測個体の中には中古品も含まれ、どれくらいの時間使われていたか不明です。使用時間が長い場合は紫外線放出量が新品時よりも減衰しますので、今回数値がイマイチだった中古品も仮に新品だったら結果は変わっていたかもしれません。
そして、“自分のようなタイプの採集者” の場合、普通は投光器に入れて使用します。投光器に入れて点灯する事で、ガラスの紫外線透過率、反射板の集光反射による紫外線の増幅や照度の変化が起こります。
また、実際の採集では光源から数m~数百mも離れた距離から昆虫を誘き寄せるので、単純な紫外線量の良し悪しだけでなく、可視光のバランスも重要になってきます。

つまり、「その人が使っているランプ」「投光器との組み合わせ」「フィールドの構造」「気象状況」によっては、この数値だけでランプを選ぶのがベターだとは限らないのです。製品の元々の特色もきちんと考えた上で、その時の事情に合ったランプ・機材を使用するからこそ、良い結果を引き寄せられると思うワケです(自分は勿論できていません!)この記事を曲解して、『じゃあとにかくグリーンランプを当てまくれば沢山採れるんだな』なんて人が出てこない事を願うばかりです。




あと、機会があれば他の蛍光形水銀ランプバラストレス水銀ランプブルーランプブラックランプなどもいずれ測定してみたいところです(ゆるく募集中です 笑)

今回、実験に際して弘前市のN氏にはランプをお借りしました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

この記事へのコメント

  • A~

    時間による(1時間ごととか)変化があるのかもお願いしたいです。
    ゴールデンタイムでどの位とか気になります。
    2025年08月19日 16:38
  • 会長

    A~さんコメントありがとうございます。

    点灯開始後10分以降は安定するものだと思っていますが、確かに言われてみればそういった時間経過のデータって無いですね。
    時間がある時でも実験してみようと思います。
    2025年08月19日 20:39
  • とんきち

    こんにちは!
    相変わらず素晴らしい記事ですね。
    こんなに長文を仕上げるのは最近の自分には無理そうです。
    記事内にあるランプとは比較にならないと思うので、測定方法を変える必要があるかもしれませんが、車用のHIDバルブを使用した測定もお願いしたいです。
    可能であれば機材持参で協力したいのですが、夏が終わってからのほうが良いでしょうか。
    グリーンや色温度の違いによる数値の違いも気になるところです。

    あまりにもオオクワ雄がとれないので、今年もだめかも知れませんが、まだトライしてみようと思っています。

    1kW使ってるところも見てみたいです。
    2025年09月01日 11:25
  • 会長

    とんきちさんこんにちは!

    一応ですが、今回を皮切りにUV蛍光灯も別に記事を書こうかと思っています。勿論出来たらHIDバルブも…と考えてはいるんですが、車用のをそのまま計測というところまでは考えが至っていませんでした。昆虫採集用に使われている既存の製品でも、灯火総研、徳豊、今峰、クレナータ、中華総研 他、比べると面白そうなラインナップがあるので、その時にはぜひとんきちさんに協力いただければ心強いです。


    …あと、とんきちさんのやってるポイント、全部じゃないですけど♂を採るの難しいポイントばっかりですよ。
    2025年09月01日 18:35
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