書評じゃないけど…「中国鍬甲大図鑑」

最近はとにかく無計画な出費が重なります。
昆虫生体や飼育用品はそこまでじゃないものの、虫関連でボンッ! ボンッ! と一回一回の出費が懐に響くものばかり。
かたや自分の生活用品には、お金をかけるどころか気にも留めてないんですが、コレってマジで人間活動止めて浮世離れしていってると思うんです。服なんて、採集着を新調したくらいで他は何年も買ってないかも…


…で、お金をかけているその虫の方ですが、
つい昨日のこと、また大きな買い物をしてしまいました。


注文して、届いたのはつい先ほど。
入念かつ厳重に施された梱包を、ひとつひとつ噛みしめるように解いていき…現れたのは、



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中国鍬甲大図鑑(中華表記:中国锹甲大图鉴)

今年の7月に中華人民共和国にて発刊されたばかりの新書で、日本国内のクワガタ愛好者の間でも今注目されている図鑑です。


購入経緯
この本の存在を知ったのは、本書を輸入・販売している昆虫販売館-insectech.comさんのアナウンスでした。
700ページ超の大ボリュームのインパクトもありますが、台湾にて刊行された「中華鍬甲 Stag Beetles of China Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ」(以下、「中華鍬甲」)以来の専門的な図鑑と云うことで興味津々。自分は今チェンミヤマといった現地のクワガタも飼育中ですし、今年に入ってさらに増種もしたので資料にできればと思ったのです。そして何より、「中華鍬甲」3冊を持っていなかった事から「中華産のクワガタの勉強になれば…!」と思い、販売部数の少なさも相まって清水の舞台から飛び降りたワケです。

販売価格23,800円は、確かに本国での定価を考えるとちょっと躊躇するところだと思います。あっちじゃたった〇〇〇元ですからね。それもあってか某SNS上では、向こうとパイプを持つ人が個人輸入したり、向こうからこちらへ帰国する際に数冊持ってくる、といったローコストな手段で手に入れる人も散見されました。
まぁ自分はそっちの繋がりはありませんし、インセクテックさんにはよくお世話になってるので国内業者を応援する意味もこめての購入ですよ。
個人的には「追加梱包代払ってキレイな状態で輸入している」と云う売り文句に負けたフシもあるんですけどネ。

到着した本は、流石はインセクテックさんの梱包と云ったところで、標本箱とか普段売っているだけあってキレイに段ボールに収められていました。緩衝材が均等に敷き詰められ、本国でラッピングされた固い破れかけフィルムの上からさらにもう一枚袋がけされて、とどめにエアキャップで完全防備でした。
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買った本の角が潰れているとそれだけでテンションが落ちる性格なので(ヤな奴…)、フィルムを優しく剥いだ後もじっくり外側を見回して…中身を開けるまで時間がかかりました(ここを読んだ諸兄の中にはこちらの人間性についてある部分で連想する事があるのかもしれないですが、余計なお世話です)。もちろん、本に触る前にはきちんとシャワーを浴びました。


感じたこと・気になる点
グーグルレンズの翻訳を使い、まえがき&あとがき部分や気になるページだけ先に読んだだけに留まりますが、感想を少し書き出してみたいと思います。

中華のクワガタ図鑑と云う事から、「中華鍬甲」を参考としてさらに新しい記録を盛り込んだ最新版のようなものを期待していたのですが、違いました。学術的な面も備えてはいますが、種ごとの説明は外形態のみに終始して個別の生態には触れられず、あくまでも「外形態による同定に主眼を置いている」ように感じる内容でした。変な言い方をすると、商品カタログっぽさがあります。
まえがきにもちょろっと書いてあるのですが、研究者に限らずクワガタ愛好者への取っつきやすい書籍になるように仕上がっています。日本でいうところの「ムック本」レベルの図鑑のように “余計な肉付け” はありませんが、引用文献も記載されてないので「論文への引用」と云う意味では研究資料には使えないです。『参考資料』という名目では載っていますが、掲載されていた書籍・論文の数は35と少なく、その中で最も新しい年の記述も2013年と少し古かったのですが、それ以降の記載種もきちんと載っており、「引用文献」はまた別にあるんでしょうね。
「クワガタ好きのためのビジュアル図鑑」といったニュアンスが合ってるかもしれません。

英題が「CHINESE STAG BEETLES ILLUSTRATED」とあるように、図鑑というよりは図説の扱いになるのでしょう。それだけに、一頭一頭の写真が細かく陰影もくっきりしていてきっちり展足もされています。誤同定が無いと仮定して見れば、特に♀や小型種などは生体購入時などには実用書としてかなり有用なのではと思えます。
一方で、「中華鍬甲」と違ってページびっしりにプレート標本が並んでいるわけではないので、個体差や地域差を見比べられないのは不便に感じます。また、掲載個体の産地表記が無いのも残念でした。

2020年以降に新種記載された種も多数載っていて、2024年に記載された種もいます。新種記載以降に書籍掲載がされてなさそうな種もいそうなので、それを見るだけでも楽しめるのではないでしょうか。

種名の由来がそれぞれ記述されているのは面白いです。

最初の説明では、亜種を含まない形で種数についての言及がありますが、中身の方はきちんと(それなりに)亜種分けされて記載されています。日本で一般的に支持されている分類とは違う部分も多々あるので、そこはやはり鵜呑みにはできませんね。

掲載されている種の中には、この国に分布しているのが意外だったり、国内の特定の狭い範囲にしかいないと思われていたのに全く別な地域にも分布の記述があったりと、分布に関して気になるものが多々ありました。「中華鍬甲」を持っていない事もあってこの部分は凄く驚いたのですが、その根拠が辿れないのはやはりもどかしい部分があります。また、分布表記も『省、自治区』クラスまでにとどめてあり、この部分の情報はおまけ程度に受け止めておいた方がいいのかも…




以上、サラッとではありますが、購入直後のレビューでした。
グーグルレンズ片手に、もう少しじっくり読んでみます。


北東北 3県目のレッドデータブック

気が付けば、もう5年も経っていたんですね・・・


青森県の希少な野生生物-青森県レッドデータブック-
2020年の春、青森県レッドデータブック(以下、RDB)の最新版が発行され入手。

Red Data Book of Akita prefecture
そして同時期に発行された隣県・秋田のRDBも、青森県の生物相を調べる上で参考に出来ると思い入手。


こうなると、北東北3県分を揃えたくなるのが性です(南東北までは別に要らないや)
しかし、残る1県・岩手県のRDBの入手はこの時保留していました。

と言うのも、2020年(2019年度)に改定・発行された青森・秋田(動物Ⅱ)とは違い、岩手のRDBの前回の改定は2014年(2013年度)。県別のRDBは概ね10年ごとに改定されるのが普通なので、岩手のレッドデータブックを入手しようと考えると、

ちょっと古いが2014年版を入手する
次期の2024年版が発行されるまで待つ

という悩ましい2択を前にして当時は足踏みしたのです。
しかも、岩手県版はRDBのPDF公開はしていないものの簡略化したものをウェブページに掲載していて、ある程度なら資料として活用できる状態でした(文献として引用するにはやはり現物が必要ですが)
結局、報文を書く際にも必要に迫られる事は無かったので、この件は自分の中でしばらく放置されていました。


この件が再び動き出したのが…たしか2年前。
前回の改定から10年経過する事から岩手県庁のホームページ上でも情報が更新されるようになり、度々ホームページを覗いて情報をチェックしていました。
発行されるかと思っていた2024年4月がスルーされ、その後もたま~にチェックしていましたがうっかり忘却。先月思い出してホームページを見たら
あっ! 発行されてる!」
2025年3月のタイミングで改訂版が発刊されていました。
出遅れた感からなぜか損した気分になりました。いずれにしたって、春頃は個人的にかなり忙しくて本を読むどころではなかったのですが…

入手するには、岩手県庁の各施設の窓口に(平日の開庁時間に)行って直接購入するか、問い合わせて前払い後に郵送してもらうかの方法があります。
欲を言えば、キズ凹みの無いものが欲しいので直接岩手まで行って手渡しで本を受け取りたかったのですが、流石にそれだけの為に平日に岩手へ行くのは効率が悪いので、送ってもらう事にしました。

こうして、今月の初めに手元に届いたのです。



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5年越しの夢が、遂に叶った…! …と云うのは大袈裟かな…
(あと、やっぱり輸送中?にキズは付いちゃいましたね…)

サイズは青森・秋田と同じA4判。本棚に揃えて並べられるので助かります。
ページ数は驚異の544ページ! 青森県版397ページを超えるボリュームでズッシリしています。これをよく1冊にまとめましたね。
そして、ページ数もさることながら値段もボリューミーでした。
・青森県RDB(2020年版)・・・1,650円
・秋田県RDB(2020年版)・・・2,200円(1冊あたり、全3冊)
・岩手県RDB(2025年版)・・・8,800円
ただ、秋田が3冊合計で6,600円だと考えれば岩手も特別高いワケではないんですかね。むしろ青森県が安いのか…

内容についてはこんな記事で長々書く事も無いんですが(と云うかまだちゃんと目を通してない)、やはりその地域の担当者の専門分野次第で見過ごされたり、反対に「ちょっと過敏過ぎじゃない?」と思うほど偏重して掲載されてるグループがあるような気もします(チョウとトンボはどの県も安定してるけど)
個人的に目を引いたのは、新規掲載されたウスバカマキリでした。改定前は非掲載種だったので、「あぁ、やっぱ岩手だと普通種なんだろうなぁ」と思ってたんですが情報不足だったのかい! 多分、全国的にレッドリストへ掲載されている事と照らし合わせての措置にも思えますが、青森県での現状を考えると、岩手県も誰か意識的に調査すれば普通種認定されるんじゃないですかね?




何はともあれ、これで来年やりたい調査の準備も出来ました。
やるかどうかは分からないけど…ま、来年の自分に任せよう 笑



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キロワットクラスへの道 ― 安定器ボックス作成 ―

8年前、意を決して揃えたハイワットクラス・ライトトラップ機材
その夏から採れる虫の量が数十倍に跳ね上がり、それに比例してライトトラップによる採集への意欲も増していきました。
(改めて説明しておくと、この『ハイワットクラス』というのは、それまで自分が100ワット未満のHIDハンディライトをライトトラップに使用していた点から、それ以上の出力の光量の機材を導入するにあたって区別の為にそう呼称しています。)
今振り返っても、「この機材が無ければあそこでコレは採れなかった」という夜は枚挙に暇がありません。

 【意を決して揃えたハイワットクラス・ライトトラップ機材】
  ⇒ 2017-6-16 『ハイワットクラス・ライトトラップ入門』
(以下、上記の記事を『前記事』とします)

機材導入以降、青森県内の各地で発電機を焚き、このハイワットクラスによる採集を試し、楽しんできました。



場所での出力不足
前記事で導入したのは(当時はあえて書かなかったけど)700ワット(W)でしたが、その後すぐ400Wなどやや小さめの機材も増やし、場所に応じて使い分けてきました。

そうやってこれまで県内各地へ赴いては採集を行なってきたのですが、こんな事を思う場所が時にはありました。


「1000W=1kWキロワットが有れば・・・」


県内のほとんどのライトトラップ適所は700W以下で十分なのですが、個人的に目をつけている一部のポイントではこの機材では虫を引っ張り切れず、想定よりもずっと貧果に終わる所もありました。
(勿論、採集仲間が同じ場所で1kW以上の出力で焚くとちゃんとそれなりに虫が飛んでくる事は確認・立会済みです)
これまでは要1000Wポイントを『例外』として妥協して採集(もしくは敬遠)してきましたが、これまでの7年(HIDハンディライト含めると9年)を経てやや煮詰まりつつある現状から脱する為にも、やはり自分も『キロワットの世界』に飛び込むしかなかろう!
・・・と、いよいよ決心してしまったんですね。



この数年でキロワット機材への意欲は湧いてきてはいたんですが、ついに今回踏み切った理由の一つがコレ↓↓

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透明水銀ランプ H1000 の入手。
今となっては、1kWクラスのHIDランプで手に入るのはメタルハライドランプばかりで、水銀ランプ――しかも透明形なんてのはまず手に入りません。ネット市場でアンテナを張っていても、希少+運+早い者勝ちの状況。そんな中で遂に目の前(スマホだけど)に現れたワケですから目も血走りましたよ。
しかし当然、売り手側も価値を解かっていますから価格も強気です。見つけた瞬間に即決なんて出来ませんでしたね。数日の間は指を咥えて懐をおさえて迷ってましたよ。
でも再出品でちょびっと値下げが掛かったところで耐えられなくなりまして・・・。咥えてた指を噛み千切り懐から臓物ぶちまけるような気持ちでポチっちゃいましたね。出血大サービスですよ。

1kW以上のランプと言えば、他で今手に入るものでもほとんど種類はありません。
その中には知る人ぞ知る球種として岩崎電気製のクウォーツアークがありますが、やはり演色性を高めた分水銀ランプとは採集における効果・影響が変わってくるし(←FH鈴木さんの受け売りだけど)、この球は元々専用の投光器・アクロスターに取り付けてこそ真価が発揮される球なので、自分には扱える代物ではありません。
他の球種も、情報収集した上ではイマイチ実績が見えない部分が大きかったです。
これらの事から、「もしキロワットクラスに手を出すなら透明水銀!」と決めていたのです。


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カブクワ俗語辞典

どの職業・学問・趣味にも、その分野で独自に使われる言葉があります。

いわゆる「専門用語」「業界用語」と云うもので、昆虫分野においても少なくない数の専門用語が存在します。
さらに、「専門用語」と言うほど厳格に認められたものではないものの、いつの間にか使われはじめそれが一般に浸透し用語化した言葉もまた、数多く存在します。
昆虫に関する分野にもそんな言葉が色々あるとは思いますが、その中でもカブトムシ・クワガタムシに関連するものについての数は、他を圧倒しているのではないでしょうか。
時代も令和に変わって久しい現在。趣味としてのカブクワ採集・飼育の歴史も“浅い”とは言えないくらいに年数を重ねている今、この趣味を深く楽しんでいる人達はその年数も経験も実に様々で、時代と共に生まれて廃れていく言葉に理解が追い付かない場面も出てくるのではないかと思います。

昔は一部のホームページやコミュニティーサイトなどで「用語集」などと云ったページを設けてあり色々と閲覧できたりしていたんですが、ウェブサーバーのサービスの終了により現在はそうしたホームページが消滅していく一方であり、まったく寂しい限りですね。
そこで、今回はそうした言葉を「俗語」と呼称しその種類や意味をまとめていきます。

さて、その「俗語」をどのくらいの範囲・基準にまで広げて取り上げるかについてですが、これは自分の主観で選定すると云う事で、厳しいツッコミは無しでお願いします。
ただ、冒頭に書いたように、一般的に業界専門用語として使用される語『WF1』『頭楯』『灯火採集』『羽化不全』『生オガ発酵マット』みたいなレベルのものは取り上げません。また、範囲としては、主に飼育と採集に関わる分野をメインに取り上げます。
取り上げる語の中には、時代と共に最近多用され始めた語や最近あまり使われなくなった語、一部の狭いコミュニティでのみ使われる語、厳密には別業界で生まれたような語も含める予定ですが、今回の記事はどちらかと云うと「ネット・SNSでの情報収集の際の読解補助」であって「この趣味を長年続けている人が在りし日を懐かしむ」為に作ってはいませんので、『DAIN』みたいな完全な死語は態々入れません。

ちなみに、自分もこうした俗語を使う事もありますが、好まない語も多いです。「通になるにはこうした語を常用せよ」と云う意図は全くありませんので、くれぐれもこれらの言葉を使う際にはご自身の責任の元で発信いただきますようお願いします。


なお本記事は今後、「それらしい」語を見つけたり、思い出したりした時に随時加筆・訂正していきたいと思います。

・読みは50音順です。
読み説明
いい虫いいむし通常、読んでそのまま解釈すれば「魅力的な虫」もしくは「益虫」と捉える語だが、時折「高値で売れる虫(種)」の事をやんわりと表現する為に使用しているように見受けられる場合がある。
色虫いろむしオレンジ・黄色・赤・緑など、黒一色ではない種のクワガタ全般を指す。また、そうした種が多く含まれるキンイロクワガタ属・ノコギリクワガタ属・ホソアカクワガタ属等が含まれ、飼育分野において「ドルクス属以外」という意味合いで表現する用途で使われることが多い。
対義語:黒虫
eggえっぐ今はあまり見かけないが、FC2等の飼育系ブログで常用されており、読んで字の如く「卵」を意味するが、産卵セット割り出し時の卵の個数を表す単位としてよく使われる。何故普通に「〇〇個」と書かないのか、甚だ疑問である。
追い掛けおいがけ飼育において、既に交尾が済んでいる(と思われる)♀成虫に、さらに♂成虫をあてがって交尾させる事。
救出きゅうしゅつ読んで字の如くで、「昆虫生体の安全を図るためにある場所から別の場所へ移動させる事」であり、飼育分野と採集分野で少し事情が変わっている。
①飼育において、生育に不適合な環境・このまま放置すると生命の危機にさらされるような環境から取出し、別の飼育環境・餌に移す事。
②採集において、このまま放置すると生命の危機にさらされるような環境から取出し、採集もしくは逃がす事。中でも、オオクワガタ採集において材割採集時に倒木を割って採集する際にこの語が隠語的に用いられる。特に雪国の場合など、乾燥気味の腐朽木を好むオオクワガタは、入っている木(立ち枯れ)が倒れると春の雪解け水の影響によって溺死(ひいてはその腐朽材にいる個体が全滅)する危険性が高く、そうなる前に倒木を割って幼虫を採集すれば、溺死の危機から救い出す事になる。昨今はオオクワガタの材割採集に対する眼差し(批判)は厳しくなる一方であり、「採集・採る」ではなく敢えてこの語を使うのは、採集の正当性を説明する意図も含まれているのではないだろうか。
(しかし、ここから先はあくまでも自分の所感であるが、最近この語がオオクワガタ材割り採集の際に無分別に乱用されているように感じる事がある。つまり、倒木か立ち枯れか関係無く材割りの免罪符のようにこの語を使っているきらいがあるのだ。確定的ではないものの、「救出」したオオクワガタだとアピールする為に立ち枯れを一度切り倒してから採集して写真を撮ったように見える物もその中には見られた。自分は材割り否定派ではないが、普通に「立ち枯れを割って採集した」と言えばいいものを、善行ぶった行為にすり替えているように見えてしまい悪印象を抱いてしまう。)
関連語:パトロール
クレクレくれくれ主に飼育分野に使われ、他人から無料で生体を貰いたがる事(人)を指す。また、そういった人を指して「クレクレ君」と呼称する。基本的には、嫌悪する対象に使われる語。
黒虫くろむし①前出の「色虫」と対照的に、体色が黒一色のクワガタを指して言う事が多く、「ドルクス属全体」を指し示す意味合いが強い。
対義語:色虫
②材割り採集において、採集された個体が「成虫」だった場合にそれを指し表わす語。幼虫より出てくる確率が低いので、いわば当たりクジにも近い意味合いがある。
撃沈げきちん①飼育において、(特に初めての飼育種で)産卵させようとしたものの失敗してしまい、なおかつ親個体も死なせてしまう事。
②採集において、その回の採集行で狙ったものを採る事が出来ず終わりを迎えた事を言う。

どちらも、自分に対して自虐的な意味で使い、昆虫分野以外でも散見される表現である。ただし本来は、「敵の戦艦を攻撃して沈めること」でありどちらかといえば相手側に対して使う言葉である。ちなみに、自分の場合は以上の理由から、同じような意味ではあるが敵味方特に関係無く使える「轟沈」という語を使っている。
御神木ごしんぼく採集において、特定の昆虫が付いている確率が周囲に比して特に高い樹を指す。言葉の印象から大木を想像しがちではあるが、特に樹齢や幹の太さは関係ない。
自力ハッチじりきはっち飼育において、羽化した新成虫が成熟し、自力で蛹室から出てくる事。略して「ハッチ」等と書く場合もある。自前の蛹室から出てきた場合に限られ、人工蛹室で羽化した個体には通常使わない。
同義語:羽脱
水牛すいぎゅう日本産ノコギリクワガタの♂の大腮(大アゴ)の歯型で、大歯型(長歯型)の事を指す。最近は「水牛型」という風に、型名のように使用される事もある。元は全国に数ある古いローカル表現の一つ(?)だったが、現在は全国的に多用されている。
スーパー大歯すーぱーだいしクワガタの♂個体の大腮の形状で、発達が限界近くまで達したあたりで特定の内歯(多くの場合、最大内歯)の途中から別の小突起が出現したもの(またはその個体自体)を指す。吉田賢治氏がこの語の生みの親とされ、具体的にはアラガールホソアカクワガタなどでこうした個体が出現する。大型化した際に限定的または偶発的に発現したような種にのみ使用される語で、種として「必ず」内歯から小突起が現れるような場合にはあまり使われない。
即ブリそくぶり「即座にブリード可能」の略。成虫を譲渡・販売する際に、その個体が未後食・未成熟・休眠中ではない事を一言で表せる。「即ブリ可」と表記される場合もあるが意味は同じ。
同義語:成熟個体
タコ採れたこどれ採集において、期待以上に多数の個体が採れた状態を表す。かつて有名だった採集用品の名前にあったように、特に材割り採集で使われる事が多い印象の語であるが、特定の採集法に限らず現在使われている。
また、飼育時に多数産卵した場合にはこの語は使われない。
対義語:ボウズ
着弾ちゃくだん荷物が届いた事を指す語。厳密にはカブクワ用語ではないみたいだが、他のブログを読むようになって初めてこれを目にした時「は? 何その表現?」と思ったし、正直今でも違和感があるので取り上げた。
ニョロにょろ「幼虫」を表す語。また、割り出しの際に幼虫の頭数の単位としても使われる。
爆産ばくさん累代飼育において、産卵セットから期待以上あるいは管理能力を超えるほど多くの卵を産んだ事を表す語。「多産」の上位語として呼称される場合が多く(本来は「多産」が正しい)、使う人によって「100頭以上採れた時だけ」などと決めている場合もあるが、数に関して明確な線引きは無い。
パトロールぱとろーる①「警察官が地域の異状がないか見回る事」や、他に「マナーの悪い採集者、無秩序な採集行為を行なう人がいないか見回る事」などを表す語。

以上は通常の意味ではあるが、以下の様な意味でも使われる場合がある。
②一箇所または複数箇所の、既知の採集場所(主に自宅近くなどのよく立ち寄るポイント)の見回りを行なう事。採集目的の意味も含むが、単に環境の異状がないかを見に行く場合を指す事が多い。
③前出した『救出』との兼ね合いで使われ、主に「倒れてしまった立ち枯れ(オオクワガタが入っていそうなもの)が無いか見回る事」であるが、「オオクワガタの材割り採集」の隠語として使われる事がある。
羽パカはねぱか幼虫飼育において、羽化個体の上翅が会合線に沿ってきれいに閉じず隙間が開いてしまった事を表す。また、上翅はきちんと閉じたが下翅が畳めずに不全を起こした場合にも使われる事がある。
B品びーひん流通時、脚・触角・外骨格の一部が欠損した個体に当てられる記号。昔から一般的に認知されている語であるが、欠損状態によってアルファベット順に細かく分ける場合もある為ここで取り上げた。基準は人によってまちまちだが、個人的な感覚としては以下の通り。
「A品」:一般に言われる「完品」と同義。体表の大きな傷・各部の欠損が無い状態。
「B品」:体表に大きく目立つ傷や、脚・触角が1~2本欠損した状態。
「C品」:欠損箇所が多数有り、もしくは、生体だが非常に弱っている状態。
♀単品めすたんぴん読んでそのままの意味だが、「♀単」などと表記していると知らない人からは何の事か分からない為取り上げた。流通上の表記で、♀個体1頭のみである事を示す語である。♂個体1頭のみである場合は「♂単品、♂単」と表記する。特に通信販売だと、商品自体は♀単品でも写真が♂の参考画像になっていたりするので、購入の際にはこの点をよく確認する必要がある。
露天掘りろてんぼり観察しやすくする、壁面の崩落を防ぐ等の目的で、蛹(前蛹)のいる容器の中身を掘り出して、蛹室の上面を開口する事を指す。ただし所感として、蛹室を掘った後にそのまま蛹(前蛹)を取り出してしまう場合や、既に成虫に羽化している場合には使われない。


書き終わってみれば結構少ないものですね。それに加えて、結構遠慮して書いたので個人的にはだいぶ薄味になってしまったと感じます。本心では今回もっと毒を吐きたかったところですが、前々から書いてみたかった記事なので今はこれで満足です。
中には、「いやいや。そんな言葉どこで誰が使ってるの?創作お疲れ様ー」とか「認識間違ってませんか?」とか色々ご意見はあるかと思います。自分も、書き方が間違ったり誤認する表現になっているところもあるかもしれないと思いますので、時々読み返してみたいと思います。
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