昆虫生体や飼育用品はそこまでじゃないものの、虫関連でボンッ! ボンッ! と一回一回の出費が懐に響くものばかり。
かたや自分の生活用品には、お金をかけるどころか気にも留めてないんですが、コレってマジで人間活動止めて浮世離れしていってると思うんです。服なんて、採集着を新調したくらいで他は何年も買ってないかも…
…で、お金をかけているその虫の方ですが、
つい昨日のこと、また大きな買い物をしてしまいました。
注文して、届いたのはつい先ほど。
入念かつ厳重に施された梱包を、ひとつひとつ噛みしめるように解いていき…現れたのは、
中国鍬甲大図鑑(中華表記:中国锹甲大图鉴)
今年の7月に中華人民共和国にて発刊されたばかりの新書で、日本国内のクワガタ愛好者の間でも今注目されている図鑑です。
購入経緯
この本の存在を知ったのは、本書を輸入・販売している昆虫販売館-insectech.comさんのアナウンスでした。
700ページ超の大ボリュームのインパクトもありますが、台湾にて刊行された「中華鍬甲 Stag Beetles of China Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ」(以下、「中華鍬甲」)以来の専門的な図鑑と云うことで興味津々。自分は今チェンミヤマといった現地のクワガタも飼育中ですし、今年に入ってさらに増種もしたので資料にできればと思ったのです。そして何より、「中華鍬甲」3冊を持っていなかった事から「中華産のクワガタの勉強になれば…!」と思い、販売部数の少なさも相まって清水の舞台から飛び降りたワケです。
販売価格23,800円は、確かに本国での定価を考えるとちょっと躊躇するところだと思います。あっちじゃたった〇〇〇元ですからね。それもあってか某SNS上では、向こうとパイプを持つ人が個人輸入したり、向こうからこちらへ帰国する際に数冊持ってくる、といったローコストな手段で手に入れる人も散見されました。
まぁ自分はそっちの繋がりはありませんし、インセクテックさんにはよくお世話になってるので国内業者を応援する意味もこめての購入ですよ。
個人的には「追加梱包代払ってキレイな状態で輸入している」と云う売り文句に負けたフシもあるんですけどネ。
到着した本は、流石はインセクテックさんの梱包と云ったところで、標本箱とか普段売っているだけあってキレイに段ボールに収められていました。緩衝材が均等に敷き詰められ、本国でラッピングされた固い破れかけフィルムの上からさらにもう一枚袋がけされて、とどめにエアキャップで完全防備でした。
買った本の角が潰れているとそれだけでテンションが落ちる性格なので(ヤな奴…)、フィルムを優しく剥いだ後もじっくり外側を見回して…中身を開けるまで時間がかかりました(ここを読んだ諸兄の中にはこちらの人間性についてある部分で連想する事があるのかもしれないですが、余計なお世話です)。もちろん、本に触る前にはきちんとシャワーを浴びました。
感じたこと・気になる点
グーグルレンズの翻訳を使い、まえがき&あとがき部分や気になるページだけ先に読んだだけに留まりますが、感想を少し書き出してみたいと思います。
① 中華のクワガタ図鑑と云う事から、「中華鍬甲」を参考としてさらに新しい記録を盛り込んだ最新版のようなものを期待していたのですが、違いました。学術的な面も備えてはいますが、種ごとの説明は外形態のみに終始して個別の生態には触れられず、あくまでも「外形態による同定に主眼を置いている」ように感じる内容でした。変な言い方をすると、商品カタログっぽさがあります。
まえがきにもちょろっと書いてあるのですが、研究者に限らずクワガタ愛好者への取っつきやすい書籍になるように仕上がっています。日本でいうところの「ムック本」レベルの図鑑のように “余計な肉付け” はありませんが、引用文献も記載されてないので「論文への引用」と云う意味では研究資料には使えないです。『参考資料』という名目では載っていますが、掲載されていた書籍・論文の数は35と少なく、その中で最も新しい年の記述も2013年と少し古かったのですが、それ以降の記載種もきちんと載っており、「引用文献」はまた別にあるんでしょうね。
「クワガタ好きのためのビジュアル図鑑」といったニュアンスが合ってるかもしれません。
② 英題が「CHINESE STAG BEETLES ILLUSTRATED」とあるように、図鑑というよりは図説の扱いになるのでしょう。それだけに、一頭一頭の写真が細かく陰影もくっきりしていてきっちり展足もされています。誤同定が無いと仮定して見れば、特に♀や小型種などは生体購入時などには実用書としてかなり有用なのではと思えます。
一方で、「中華鍬甲」と違ってページびっしりにプレート標本が並んでいるわけではないので、個体差や地域差を見比べられないのは不便に感じます。また、掲載個体の産地表記が無いのも残念でした。
③ 2020年以降に新種記載された種も多数載っていて、2024年に記載された種もいます。新種記載以降に書籍掲載がされてなさそうな種もいそうなので、それを見るだけでも楽しめるのではないでしょうか。
④ 種名の由来がそれぞれ記述されているのは面白いです。
⑤ 最初の説明では、亜種を含まない形で種数についての言及がありますが、中身の方はきちんと(それなりに)亜種分けされて記載されています。日本で一般的に支持されている分類とは違う部分も多々あるので、そこはやはり鵜呑みにはできませんね。
⑥ 掲載されている種の中には、この国に分布しているのが意外だったり、国内の特定の狭い範囲にしかいないと思われていたのに全く別な地域にも分布の記述があったりと、分布に関して気になるものが多々ありました。「中華鍬甲」を持っていない事もあってこの部分は凄く驚いたのですが、その根拠が辿れないのはやはりもどかしい部分があります。また、分布表記も『省、自治区』クラスまでにとどめてあり、この部分の情報はおまけ程度に受け止めておいた方がいいのかも…
以上、サラッとではありますが、購入直後のレビューでした。
グーグルレンズ片手に、もう少しじっくり読んでみます。
