空振り三振!?

国産ドルクスの流れで、前回のオオクワに続いて今回はヒラタの年まとめ記事です。

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前回が2024年の7月だったので、実に1年4ヶ月振りとなります。


産卵セット 2024年10月
本音で言えば、長く累代を楽しみたいので早期サイクルでブリードしていくのは気が進みません。しかし現在の1♂2♀♀と云う数は、累代ギリギリでいつ途絶えてもおかしくない状況です。オオクワほど寿命も長くありませんから、♀が健康に産める1年目2024年のうちからブリードを開始する事に決めました。何より、1ペアしかいないと何かちょっとでもアクシデントが起これば「即ブリード終了」ですからね。


…とか言っている矢先、
幼虫採りした方の♀1頭が夏の間に謎の不審死!
これで残り♂♀1ペア、もう後が無くなってしまいました。数が少ないとこういうのが怖いんですよ…!


落ち着いて飼育作業に取り掛かれる秋になって、ブリードを開始しました。

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クリアボトル1400ccをペアリングケースとして♂♀を投入して様子を見ることに。

……したのですが……


同居させて数時間後、
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あっ! あぶないっ!
♀が殺される! (写真撮ってる場合じゃねえ)
♂を興奮させないために、ペアリング前に♂だけ数日前からボトルに入れて慣らしておいたつもりだったんですが、無駄でした。5月には羽脱してたし、成熟してないワケないよね? ティタヌスの飼育はかなり久しぶりなので、ちょっと油断していました。

ハンドペアリングも不安だったので、
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チューブで♂の大腮を封じ、再ペアリングしました。

数日経つ頃には、♂♀で同じゼリーを食べているのを確認したので、セッティングに移ります。
(とは言え、実際に交尾は確認できず、実際に交尾が成立しているのかは不安が残っていました)


今回、せっかくの和歌山産クワガタのブリードと云う事で、カタチから入るためにこのマットを用意しました。
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フォーテック製 産卵1番

和歌山県の老舗昆虫用品メーカーのフォーテック。有名どころではありますが、青森までの送料がアホほど高いのでここの製品を使う事はこれまでほとんどありませんでした。しかし、この燃料高騰の時世において他のメーカーも送料を値上げした結果、他メーカーの送料負担も軒並み大きくなってきた事や、年に数回ある〇〇%OFFセールに購入すればそれなりに購入のハードルも下がると云う事で、今回使ってみる事にしたのです。
産卵1番も、実は使うのが初めてだったりします。


【セット内容】 2024年10月14日
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容器:コバエシャッター 小サイズ
マット:産卵1番
エサ:プロゼリー
温度:22~23℃
以上。

超シンプル。死語ですが所謂 “カンロ式” ってヤツです。自己採集の思い入れが…とかいう割に気合いが感じられませんが、まぁでも実際はこういうのがよく産むんですよ。


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ちなみに、せっかくフォーテックから用品を購入するワケなので、マットと一緒に菌床も購入しておりました。実はこっちも初購入。
G-ブロック(角型3700cc)と、G-ブロック丸(3000cc)の2種類を買ってみました。詰める際の所感としては、従来の角ブロックはいつも使っている他メーカーと比べてブロック外部の被膜が厚く熟した感じで崩しにくく、丸ブロックの方は説明にあった通り被膜が出来る前の状態だからか非常に崩しやすく、双方で作業の効率に大きく差がありました。もしかしたら角ブロックは製造のタイミングによるものだったりするのかもしれませんが、同じレシピだという前提なら個人的には断然後者が良いと思いましたね。

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崩した後のチップの手触りは、個人的には最近触った菌床のうちではちょっと「別物」に感じました。
メーカー公称ではヒラタケ菌で生クヌギ100%ってことなんですが、直前に詰めていたKBファームの菌床(ブナ)と比べると「粒子の質感がモコモコ/フワフワ」していました(KBの方は、ザラザラ/ジャリジャリする感じです)。腐朽が進んでいそう(ホダオガ?)な感触です。

ヒラタやノコギリにはとても相性が良さそうな反面、計画的な準備で使っていかないとただただ腐らせてしまいそうです(←ここでしっかりとフラグを立てていく!)

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ブロック8個を使い、コクワも含めた和歌山産飼育用としてカップ・小ビンを中心に詰めておきました。




さて、産卵セットの様子はというと…

潜ったきり動きがありません。たまにケース底面をチェックしても、卵も見えないし土中を進んだ形跡もありません。


これ、完全にOFFってますよね。
冬感じちゃってますよね。「オオクワじゃないし季節はそこまで気にしなくてもいいよね」って舐めてたらこの有様ですよ。一応去年末のコクワ記事でもチラッと書きましたけど、同じく和歌山コクワも寝ちゃいましたからね。

掘り出すワケにもいきませんし、数週間様子を見た後にはもう諦めてまして、完全に冬モードで常温管理に移す事にしました。


割り出し 2025年7月
冬が過ぎ、2025年の春が来ました。
去年詰めた菌床は結局、ほとんどが腐るか乾くかで廃棄処分になりました。こういう時に限って代用できる他の幼虫が居ないんだもんな、目眩がするわァ…


だから仕方なく、

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2回目準備するしかないじゃない。
今回注文した菌床はG-ブロック丸だけ10個。今回は和歌山産の他に、ギラファ(記事未編集)の分も考えてちょっと多めに詰めてみました。

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これが4月の事でした。


春になったら成虫も起きて産卵を始めてくれるだろうとの試算で、越冬明けしてから3ヶ月以上経った(多分)7月11日に割り出し作業を行ないました。



〉〉結果発表ーー!!!

2024年羽化報告 紀伊大島産ヒラタクワガタ

盛夏となりまして、青森も寝苦しい夜が続いています。

最近は採集一辺倒でよろしくやっているかと思いきや、意外と飼育方面もバタバタしておりまして「やること山積み」の状態です。色々と羽化していますし増種もしちゃってます。にもかかわらず若干夏バテ気味で、一日一日の作業がだいぶスローモーです。情けないです。

さて、今回は今年の初めに和歌山へ行って採ってきたヒラタのその後の報告です。


蛹化まで
当時採ったのは成虫1♀、幼虫1♀1♂でした。
マットに投入した幼虫は、前回の記事で♀が即座に蛹室をこしらえて蛹化してしまった事まで報告しました。

数がギリギリな手前、♂がどのくらい羽化ズレするか心配が尽きませんでした。♀よりも2℃ほど高い温室で管理していき・・・

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♂の方も蛹室を確認。

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そして♀の蛹化からわずか16日後に蛹化! 奇跡的にズレがほとんど無いのは喜ばしい事ですが、反面つまりコレってマットに入れた事で蛹化スイッチが入ったって事ですよね。ちょっとは大きくするつもりだったからそういう意味では哀しきかな。

早くに蛹化してしまったのでサイズは望めないと覚悟していましたが、大腮はしっかり「ヒラタ」な形をしてます。


羽化まで
♂の蛹化から1週間、
P3060221.JPG♀が羽化、翅もしまわれていて不全もしていません。

さらに、同月中に♂も羽化。
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ひと月も掛かりませんでしたね。ボトル底の蛹室だったので不全を心配していましたが、こちらもキレイに翅が閉じています! Yes!!! Let’s go!!!
(近年、外産ノコとかビン底蛹室で死ぬ個体が多かったのでわりとナーバスになっていました)


さてこの後ですが、気が早い人なら「感動の前借り」として身体が黒く固まってきたら掘っちゃったりするところですが今回はしません。羽脱するまで静かに見守ります。別に、愛護精神に目覚めたワケではありません。なんか色ノコとかメインでやってきた所為か、変にいじると活動開始しても動きが重かったりエサ食いが悪くなってしまわないか心配になってくるんですよ(そもそも色ノコの動きが悪いのは虫じゃなくて腕の問題だよね)


羽脱、そして――
羽化から1ヶ月強、
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♂が地上に上がってきました(早っ!!)。感動の対面です。


片や♀ですが、管理温度が♂より低い所為か頑なに蛹室に留まったままでした。
その♀も、6月の末になってようやく羽脱! まさか蛹室内で夏眠とかするつもりじゃないよな!? と不安になり始めていたところでした(ちなみに成虫で採った♀は勿論活動済み)

・・・と云う事で結果発表↓↓


【産地】和歌山県 串本町 〇〇 (紀伊大島)
【累代】幼虫採集品(F0)

※ そういえば、同産地の虫をSNSや販売サイトで確認してて気が付いたんですが、一般にこの島の名前が『紀伊大島』で通っている中でクワガタ屋界隈だけがなぜか『南紀大島』呼びをする人の割合が多いんですよね。文字の響きからして後者の方が人気あるからとか? 分からんけど、ウチは『紀伊大島』呼びで固定しますよ。


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【体長】28mm
完品。それだけで美しい。SNSなどで見るヒラタって♂も♀も土やマットにまみれてゲチャゲチャした個体ばかりってイメージなので、新成虫のピカピカしたヤツって新鮮に見えます。

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成虫採集した個体と並べてツーショット。
大きさが僅か1mmしか変わらないのは面白みに欠けますが、体型が結構違うのは興味深いですね。左の27mm(成虫採集品)と比べると、ちょっと細長いシルエットになっています。両者ともブリードしてF1が羽化したら、どのくらい差が出るんでしょうかね・・・?



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【体長】53mm
こちらも完品。言う事無し。昨今多い外産逸失や交雑のような不自然さが、微塵も感じられない国産(本土系)らしさに溢れた造形。そして、60mmを超えたら・・・、70mmを超えたら・・・、と想像力を掻き立てられる中途半端なサイズなのもイイですね。(見せられた側は全くワクワクしないでしょうけどね)

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真横から見ると、「扁鍬形」の名の通りキレイな扁平体型。これから飼育するにあたって、できれば樹皮か何かの隙間に潜れるように木を配置して観察飼育してみたいところ。

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翅の光沢も味わい深いです。これが大型化していくとどう変わるのか楽しみです。また、こうして見ていると他の産地や亜種とどのくらい違ってくるのかも興味が湧いてきます。

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頭部のアップ。島嶼の亜種のようにデフォルメが効いた造形ではないですが、ヒラタ分布圏外に住む自分としては、この洗練されていない野暮ったくてベーシックな大腮こそ最初に見ておきたかった(ちなみに、自分は離島亜種飼育未経験です)


手に取って眺めてみると、そこは流石ヒラタ。ソッコーで指にガッツリ噛みかかってきました。





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以上、こうして無事採集個体が全頭無事成虫になり活動を始めましたので、次のステージ=ブリードに進みます。
ただしせっかく苦労して採った個体なので、急ピッチでブリードしていくと累代があっという間に進んでしまうので、出来るだけゆっくり引き延ばして累代していきたいと考えています(正直言って、累代が進んでいっても血の入れ替えに他人のブリード品とかを混ぜたくないんだよなァ~思い入れが半減すると言うか)。せっかく紀伊大島産なんだし、ブリードする時にはフォーテック製品でいこうかなとか考えたりして・・・
(※フォーテック:和歌山県の用品メーカー)


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ブリード開始までは、じっくりと目で楽しませてもらいましょう。

紀伊大島産 飼育開始!

1月11日
緊褌一番の和歌山遠征を終えて3日が経過したこの日、採ってきた幼虫の仕分け作業にようやく着手しました。


ストックケースの内部は既に、粉々に分解されたフレークで押し固められていました。いやぁやっぱりそれなりに旅の疲れが蓄積してたので、平日仕事を終えて飼育作業ができるようになるまではちょっと時間が要りましたね。
コクワ・ヒラタ合わせて19頭、採った個体は全て存命。(ちなみに現金な話、今回の遠征で採れた虫のコストを計算すると、成虫幼虫合わせて21頭、交通費のみを経費とすると61,793円で、61793÷21≒2940 1頭あたり2,940円ほどかかった事になります)


エサは、菌床も使おうかと最初考えたのですが、
菌床に入れた青森産オオクワのWF1幼虫がたびたび消滅していたイメージが先行してしまい、野外品幼虫にいきなり菌床を使うのも怖かったのでここは全頭に発酵マットをあてがう事にしました。

コクワの1~2令幼虫には120ccカップ、
コクワの♀3令幼虫には基本的に600ガラスビン、
コクワの♂3令幼虫とヒラタの♀幼虫には800ccクリアボトル、
ヒラタの♂3令幼虫には1400ccクリアボトルを用意しました。

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せっかくなので投入前にコクワとヒラタの♂3令幼虫の体格を比べてみました。あぁ~、全然違う~! 体重は量っていませんが、まぁ60mm台は無理でしょうねー。
のびしろに関して言えば、1~2令で採ったコクワの方がむしろ楽しみです。

採集当時も活動中だったので、このまま23~24℃環境に置いて活性を上げて管理する事にしました。



思えばティタヌスの飼育も随分と久しぶり。
中学生頃のスマトラヒラタ、高校生頃のバンガイヒラタ(仮)以来だった気がします。おまけに国産ともなると幼虫飼育は初めてですから、南紀の風景を思い出しながら羽化までじっくり楽しませてもらう事にしましょう(実は近年、スマトラヒラタあたりをまた飼いたくなってウズウズしているところでした)
コクワも、去年から家にいる青森産2産地との違いを「色・サイズ」ともに見比べられる日を楽しみにしたいと思います。







それから、約1ヶ月が経ちました。

その間、気になっては度々様子を見てたんですが・・・


ヒラタの♀さん↓↓
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もう蛹化しちゃった・・・!!
コクワすらまだ誰も蛹になってないのに・・・

「羽化したらコクワだった」なんてオチにならない事を祈るばかりです・・・
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